コラム:「就活うつ」を解消する「状況俯瞰のすすめ」

この記事について

参考:「就活うつ防ぐには 初期から中小企業に目を(日経新聞)」「就職活動時のメンタル不調に関する調査(ABABA総研)」

このようなことに、お悩みではないでしょうか

ひとくちに「うつ」といっても、状態の重さ軽さや状況が千差万別なので、簡単には言えませんが、
こと「就活」のなかで、精神的につらいと感じる場合、

「どの会社に応募したらいいか、迷う」
「応募や選考にあたっての作業が多い」
「選考で落とされて、ショックを受ける」
「周囲の友人と自分の状況を比べてしまう」
「この先の人生に対して、希望が持てない」

ということが、多いのではないか、と思います。

もしこれが当てはまるなら、プロジェクト進行支援家として、後藤が申し上げたいのは、ただ、一点です。

その精神的なつらさは、就活を「ルーチンワーク」だと思っているから、かもしれないということです。
(ここでルーチンワークという言葉の意味は、「手順通りにやれば、誰でもできる作業」というふうに、お考えください)

「就活」とは、「プロジェクト」である

結論から申しますと、就活とは、プロジェクトと呼ぶべき活動です。

では、プロジェクトとは、なにか。私流に言えば”あったらいいな”から始まり、未知に対してまずは一歩を踏み出してみることで、新たな自分と世界を知る一連の行動」です。

下の図を、じっと、よく見てみてください。

就活を、「ルーチンワーク」だと思ってみたら、そう見えるかもしれません。
そう見えた方は、今度は、就活を「プロジェクト」だと思って、よくよく見てみてください。
そうすると、あら不思議、「プロジェクト」に、見えてくるはずです。

「就活」を「ルーチンワーク」として上手にこなせる人は、ごく一部

世の中には、「就活攻略法」なるノウハウや指南が、やまほど情報化され、本やネットメディアに、あふれています。

それらのノウハウから、自分に合ったものを選び、言う通りに実践したら、就活に成功できる、と、お考えではないでしょうか。

もちろん、偶然、自分にあったノウハウと出会い、偶然、自分にあった企業と出会い、なぜだかよくわらないけど、するっと就活がうまくいく方も、おられるかと思います。が、それは、全員ではありません。むしろ、ごく一部です。

そして、誰かに教えられたノウハウ通りにマジメにやっているのに、なぜかうまくいかない、という方にこそ、就活を「うまくいかなくて当たり前の、試行錯誤的な取り組みだ」と、捉え直してみていただきたいのです。

「プロジェクト」としての就活を成就させるために

上の図で示すような就活の流れは、理想形として描く分には、確かにその通りです。しかし、自分をその型にはめさえすれば、なんとかなる、というわけではありません。
一般的に語られている必勝パターンのなかには、自分にとって必要なものもありますが、不要なものもあります。しかし、就職ということをやったことのないなかで、自分でそれを考えるのは、極めて難しいのです。

例えば一般的な就活アドバイスとして「中小企業にも目を向けよう」「エントリー企業を増やそう」といったものがあります。単純計算すれば、確率的には、そうかもしれません。しかし、本当に誰にでも当てはまるかは、定かではありません。絞ったほうが、うまくいくかもしれません。

そういう意味で、就活を、「誰にでも当てはまるテンプレ的なもの(ルーチンワーク)」ではなく「他ならぬ、誰でもない、自分自身の物語(プロジェクト)」として、捉え直してみていただきたいのです。

では、就活を、プロジェクトとして捉え直すためには、具体的には、どう考えるとよいでしょうか。

簡単にいえば、以下の図に示すような形で、「自分が何を求め、どこに向かっているのかを、一旦、間違っていてもいいから、まずは言葉にしてみる、整理してみる」ということです。
※このフレームワークは、「プ譜」(プロジェクト譜)といいます

プ譜を書いてみたい、という方は、以下のリンクからテンプレートをダウンロードいただけます。

https://www.gotolab.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/pufu-template.pptx

「プロジェクト」としての就活の、考える順番

プ譜は、どこから埋めてもいいのですが、こと就活に絞って考えると、以下の順番が、良いかと思います。

「獲得目標」就活なので、基本的には、「内定」ということかと思います。
が、単に内定というだけではなく、もう少し具体化してみましょう。

例)
・第一志望の会社からの内定
・内定をもらえたらどこでもいい
・やりたい仕事ができるならどこでもいい
・まずは、就職してみて、そこから自分のやりたいことを探す
・とにかく生活をしていくために、月収◯◯円以上の仕事を探している
「廟算八要素」獲得目標を定めてみたら、次は「廟算八要素」です。
目標に対して自分の持っている資源や潜在的なリスク、誰とどのような競争状況にあるのか、
つまり、どのような状況にいま向き合っているか、を、整理します。

例)
・すでに希望する業界で仕事をした経験があり、スキルがある
・相談に乗ってくれる、信頼できるキャリアドバイザーがいる
・学業との両立のため、時間が足りない
「勝利条件」

「中間目的」

「施策」
以上の流れで「目標」と「状況」が見えたら、「有利な要素」「不利な要素」が見えるはず。
自分に有利な要素を強め、不利な要素を克服すれば、目標達成の可能性は高まります。

大事なのは「いかなるアクションを取って、どのような状態を導くか」という視点です。

具体的には「勝利条件」と「中間目的」と「施策」という項目で考えます。
これらのどの順番がいいかは、人や状況によります。
思いついた要素から埋めてみる、という手もあります。

(勝利条件や中間目的の例)
・自分の志望業界を、確信をもって決められる
・志望業界にアピールできる自分のスキルと経験が、相手にわかりやすい形で表現できる
・限られた時間を、最大限、有効活用できる
・精神的な健康を、まずは取り戻す

(施策の例)
・あらためて設定した獲得目標をもとに、志望先をリストアップし直す
・一番信頼している先輩に、相談に乗ってもらう
・就職せずに行きていく方法を考える
・気晴らしに旅行してみる
・あらゆる不利な状況を想定した面接対策百本ノック

思い通りにならない状況は「俯瞰視」で抜け出そう

筆者の経験として「抑うつ気分」は「本当に自分のやりたいこと」が「世間や他者から求められること」によって否定されているときに、起きやすい、と、思っています。
ここで大切にしていただきたいのは「抑うつ状態だから、駄目だ」ということではない、ということです。むしろ「本当に自分のやりたいこと」が、自分の心のなかの中にあって、それがさえぎられているからこそ、抑うつ状態に至っている、と、考えてみることを、強くお勧めしたいと思います。

プ譜を書いてみると「本当に自分がやりたかったこと」が、少しだけ、はっきりします。本当はやりたかったことはなにかを、改めて俯瞰視することで、次に踏み出す一歩が、おぼろげでも、必ず見えてきます。

「当たり前ができない」でなく「できないことを、やってみる」へ

繰り返しになりますが、プロジェクトとは、「”あったらいいな”から始まり、未知に対してまずは一歩を踏み出してみることで、新たな自分と世界を知る一連の行動」です。

いま希望している就職先が、自分の人生にとって、本当にベストなのか、それは、わかりません。
掲げている目標に対して、立案した施策が、本当にベストなのかも、やってみないと、わかりません。
ベストだったとしても、予想もしない外部環境の変化により、意味がなくなってしまうかもしれません。

そういう不確実性や失敗に対して「不安だ」とお感じになるかもしれません。

自分の行為が、計画どおりの結果に結びつかなかったら、「無意味だ」と思うかもしれません。

しかし、実は、そうした考えこそが「ルーチンワーク思考」のデメリットなのです。

「ルーチンワーク思考」の本質は「できて当たり前」ということです。
これは、「できるとき」には、効率性をもたらしてくれますが、「うまくいかないとき」は、ストレスでしかありません。

「就活うつ、やばいな・・・」と思ったら「うまくいかなくて、当たり前」と、思い直してみてください。

そして、「書いてみよう、やってみよう!」のプロジェクト思考に切り替えて、トライしてみてください。

最後に:プ譜のテンプレートはこちらから!

この記事を読んで、プ譜を書いてみたくなった、という方は、以下のリンクからテンプレートをダウンロードいただけます。

https://www.gotolab.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/pufu-template.pptx

詳しいプ譜の書き方は、以下のページもご参考ください。

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