「プロジェクトの進め方」は1つじゃない!8つのタイプ別に考える推進アプローチ

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着目する問題:
プロジェクト推進=ITプロマネと思ったら、大違い!

会社の「◯◯プロジェクト」と名のつく取り組みが、なかなかどうも、スムーズにいかない、という経験はないでしょうか。

マイクロマネジメントしてもよくないと思って、良かれと思って放って置くと迷走。
もう少し様子を見ようかと思ってそっと見守ると、気づけばアクションが停滞。
これではダメだと、直々に手を動かし始めると、いつの間にか、承認者/評価者側が、プレイヤーに・・・

そんな悩みを解決するために、いわゆる「プロマネ」の方法論を探ってみて、その教えのとおりにやってみたことが、ある、という人も、多いのではないかと思います。

もちろん、こうした概念を用いてものごとが進捗することも、あります。が、実は、万能薬ではありません。実際のところ、こうしたものを勉強してみたけれども、どうもいまいちピンとこなかった、あんまり有効性を感じなかった、という方も、多いかと思います。

「プロマネ」の一般的なイメージ

もう少し深く勉強すると:ウォーターフォールやアジャイルといった言葉と出会う

プロジェクト状況の、8つの類型

「プロマネ」って、結局のところ、どうなの?という、そんな疑問を持った方にお伝えしたい、たったひとつのメッセージがあります。

「本当に、ちゃんと進捗させたいならば、まずはその取り組みの性格を理解しよう」

このコラムで覚えていただきたい唯一の図は、ずばり、こちらです。

「プロジェクト進行スキルを組織的に底上げする方法を検討するためのディスカッション・ペーパー」より

図の左側に行けば行くほど、その取り組みに関わる関係者が明示的で、いわゆる「甲」と「乙」の間の業務委託契約が発生するようなものになります。右側に行けば行くほど、明示的な契約関係が存在しないなかで、行動変容や問題解決を訴えていく、というものになります。

上下について補足しますと、上側は、受益者の要望や課題が先にあって、プロジェクト活動を通して、それを叶えるもの。下側は、製品や技術、メソッドなどの手段やコンテンツが先にあって、それを受益者に対して提供していく、というものです。

類型別の、プロジェクト進行の勝負どころの違いとは?

「人間」とひとくちにいっても、色んな性格を持った、多様な人間がいるのと同じで、「プロジェクト」とひとくちにいってもやはり実に様々な性格を持った、多様なプロジェクトが存在します。

実は、いわゆる「ウォーターフォール」と呼ばれる方法論は、これらの類型でいうと、制作プロジェクトの、特に「メソッド導入」型には、ぴったりしていますが、右側に行けば行くほど、適用になりにくくなります。いわゆる「アジャイル」と呼ばれる方法論は、事業開発の、特に「ニーズ駆動」型にはぴったりしていますが、これもやはり、類型が異なったものには、適用になりにくいのです。

では、そのプロジェクトの性格とは、どういうものなのでしょうか。
表形式で解説しますと、以下の通りとなります。

大分類小分類推進のために、プロジェクトの推進者や責任者が大事にすべきこと
制作要望実現●受益者の表層的なリクエストに振り回されない
●最初から思い込みで、実現手段を限定せず、問題や要望を、とにかく深く理解する
メソッド導入●あらかじめ、必要な資源やプロセス、期間や管理帳票等の計画を詳細に描く
●関係者の責任範囲や業務分掌を明らかにし、スコープが乱れないようにする
製品開発マーケットイン●いわゆるMBA経営学的な、マーケティング戦略の王道をキチンと立てる
●最上流におけるコンセプト設計を、とことんまでこだわる
プロダクトアウト●製造側の関係各位がスムーズに連携できるよう「すり合わせ」を大切にする
●ユーザー側の声が適切に製品に反映されるような仕組みやプロセスを導入する
事業開発ニーズ駆動●推進者や責任者自身が、受益者の声の、できる限り近くに立つ
●そのうえで、受益者の期待や想像を超える解決策を考え抜く
シーズ起点●シーズの持つポテンシャルや未来の価値を、当事者自身がとにかく信じる
●特定の市場やターゲットを想定して動きつつも、こだわり過ぎず、試行を増やす
変革外圧●外部環境に見たくない要素があったとしても、現実から目を背けず、向き合う
●本当に起きていることの実態を理解するために、現場に飛び込み、一次情報を得る
内発●向き合うべき矛盾に妥協せず、短期的な変化に惑わされない骨太な構想をする
●遠大な計画を見据えつつも、焦らず、伏線を張り巡らせる
プロジェクト進行別の「勝負どころになるポイント」の違い

自社のプロジェクト進行スキルを、本当にどうにかしたかったら、◯◯から始めよう

プロジェクト活動に慣れていない人は、つい、

と、考えてしまいがちですが、それでは、理屈としては、片手落ちなのです。

そして、あまり深く考えずに
「とりあえず、プロマネの勉強をすればよいのだろう」
「とりあえず、プロマネといえば、ITプロマネが王道なのだろう」
といった具合に、本来は適用にならない手法論を学んでしまい、かえって逆効果になってしまっていることが、とても多いのです。

本当は、以下の順番で、考えてあげなければなりません。

理想をいえば、そのプロジェクトの性格を見極めたうえで、そこに適した気質やスキルを持つ人材を配置することができれば、鬼に金棒です。

参考資料と、PM育成よもやま相談会のご案内

ゴトーラボでは、この問題に関する分析結果と解決方法をお示しし、社内の育成計画の参考とするための「ディスカッション・ペーパー」を一般公開しています。ぜひ、ご参考ください。

「プロジェクト進行スキルを組織的に底上げする方法を検討するためのディスカッション・ペーパー」https://docs.google.com/presentation/d/1GoFA2VqhkRNuFl0eKlcW0Hh4iFKOrZ3_0d3ggAsvHTM/edit?usp=sharing
(googleスライドです)

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