この記事について
この記事は、社員のプロジェクトマネジメントスキルの向上施策を検討している方向けに、どのようなスキル育成が必要で、どのようなコンテンツが有効なのかについて解説します。特に混同しがちな「社会人基礎力」との比較のなかで、近年の「業務改善」や「デジタルツールの導入」といった取り組みにおいて必要となる要素について説明いたします。
もくじ
1 着目する問題:プロマネ研修、結局どんなスキルを伸ばすのか?
2 「プロマネスキル」と「社会人基礎力」的なものの整理
3 ポイントは、プロジェクトワーク独特の「ものの見方」
4 自社のプロジェクト進行スキルを、本当にどうにかしたかったら、◯◯から始めよう
5 参考資料と、よもやま相談会のご案内
着目する問題:
プロマネ研修、結局どんなスキルを伸ばすのか?
プロジェクト型業務の進みが悪いので、なにか対策をしたいというときに、「研修による知識のインストールやスキルアップ」が、オーソドックスな打ち手として、しばしば検討されます。
しかし、この「プロジェクトマネジメント研修」というものが、意外と厄介なものです。
実際に「プロジェクトマネジメント研修」と検索をしてみると、多くの研修ベンダのサービスが見つかります。
しかし、
「品質マネジメント」
「計画と見積もり」
「アーンド・バリュー・マネジメント」
などなどの、仰々しい文言が踊り、「そういうやつじゃない・・・」と、思ったことがある方も、多いのではないでしょうか。
実際のところ、IT開発者向けのプロジェクトマネジメント研修は、当たり前ですが、IT開発のための研修を提供しています。ゆえに、一般的な事業会社における非定型業務の推進スキルとは、どうしてもやはり、食い違ってしまうのです。
結局のところ、どんな能力を伸ばせばいいのか。
ロジカルシンキングや問題解決研修と、何が違うのか?
いわゆる「社会人基礎力」を身に着けさせたらいいのか?
実は、一般的なビジネススキル向上の研修を扱う総合的な研修ベンダも、IT開発系を専門とする研修ベンダも、この問題について、きちんと掘り下げたうえでサービス提供をしている例は、とても少ないのです。
なんとなく「PM研修らしきもの」をやってみては、「PMスキルらしきもの」を身に着けさせたような気がする、しかし、なんだかどうも、しっくりこない・・・というところが、社会人教育業界の、実際の本音なのです。
「プロマネスキル」と「社会人基礎力」的なものの整理
そのように「プロマネスキル」って、結局のところ、どうなの?という、そんな疑問を持った方にお見せしたい、たったひとつの分類表がこちらです。
「PMスキル」と「社会人基礎力」的なものの整理
プロジェクトマネジメントのスキルとは、結局のところ突き詰めれば、いわゆる「社会人基礎力」と大きく重なります。大きく重なるどころか、プロマネスキルの基礎、土台の部分は、経済産業省によって整理、提唱されている3つの能力、12の能力要素と寸分違わず重なり合います。
社会人基礎力とは?
社会人基礎力とは、2006年に経済産業省が提唱した「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」です。「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力とされており、この3つはさらに、「主体性」「働きかけ力」「実行力」「課題発見力」「計画力」「創造力」「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「情況把握力」「規律性」「ストレスコントロール力」の12能力要素に分かれる、とされています。
参考:経済産業省HP「社会人基礎力」https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html
どんなプロジェクトワークも、結局のところ、適切に文章の読み書きができて、ボールを溜め込まず、適切に「報・連・相」ができれば、あとはその領域特有の知識を持っていれば、ある程度はしっかり回っていくはずです。
しかし、誠に不思議なことに、近年の「業務改善」や「デジタルツールの導入」といった取り組みに直面したとたん、いくら既存業務で高い成果を発揮してきた優秀な人材であっても、なぜだか急に、うまくいかなくなる、ということが、非常に多いものです。
ポイントは、プロジェクトワーク独特の「ものの見方」
既存事業で活躍しているビジネスパーソンは、例外なく、「既存の会社や事業の仕組み」に適応しています。適応しているから、その仕事の型がある前提で、パフォーマンスをあげることができています。彼ら・彼女らの「社会人基礎力」は、その型のなかで、ある程度の前例があるものを再現していくために、発揮されています。
一方で、プロジェクトワークとは、これまでに経験のないことを、適切に模索や探索もしながら、進めていくものです。
その場では、不確実な目的目標に対して
「実行しながら考える」
「ある局面では確実な成果が求められる」
「別の場面では、リスクをとって前に進むことが求められる」
「そういうことも含め、学びながら成果を求める」
という、ある種、曲芸的な動き方をすることが要求されます。
そのために求められるのが、以下の図における「STEP②」なのです。
「社会人基礎力」からのステップアップ
自社のプロジェクト進行スキルを、本当にどうにかしたかったら、◯◯から始めよう
プロジェクト教育になれていない人は、つい、「とりあえずプロジェクトマネジメント研修を受けさせればよいのだろう」と、考えてしまいがちですが、それだと、身につけるべき力と履修する内容が、大幅に食い違ってしまう可能性があります。
かたやで、「社会人基礎力の高い有能な人材だから、とりあえず任せておけば良いだろう」と考えるのも、非常に危険です。
ぜひ、上の図でいう「STEP②」の部分が身につくように手当てをしてほしいと、切に、願っています。
では、どんな手当てが必要なのか。
知識、思考、経験、機会の、4つの要素から考えることをオススメします。
(図の中では「資質」も含めて、5つの要素としていますが、資質は先天的なものなので、手当てからは除外しています)
各象限の能力獲得に必要な知識や思考、経験、機会、資質
知識・思考だけを詰め込んでも、頭でっかちになってしまうものですが、それでもやはり、知識・思考は大事です。
そして、どうしても「目の前に見える課題をこなすための、直接的な答え」を求めてしまうものですが、そればかりだと、応用がきかなくなってしまいますので、「どんな取り組みにも通じる、普遍的な原理原則」もぜひ、大切にしましょう。また、過去の類似した事例に関する知識も有用です。
知識・思考以外に必要なものが、機会・経験。つまり「実際にやってみる」ということです。
プロジェクトワークは、実に動的、ダイナミックなものであり、また、常に状況と主体者が相互作用的に移ろい、動いていくものです。ゆえに、運動感覚を養うのが大事です。このあたりは、漫然とやっていては、なかなか成長実感が湧きにくいところがありますので、ある程度の定点観測や客観的評価、振り返りも必要となります。
まとめますと、STEP②のために必要な手当ては、以下の通りになります。
主体者のスキルレベルや資質の現状分析、棚卸しをする
↓
把握した内容に基づき、必要な原理原則、技法や事例等の知識を学ぶ
↓
適切な難易度の機会を見出し、実際に使ってみて、酸いと甘いを噛み分ける
↓
成功体験と失敗体験を言語化、整理したうえで、次に活かす
そして、ゴトーラボでは、まさにこの部分の知識とスキルの向上に役立つコンテンツを提供しています。
手前味噌ですが、既存のいわゆるPM研修やアジャイル研修ではうまく扱えない、プロジェクト進行の勘所を、かゆいところに手が届く形でお届けし、数多くのクライアントからご好評をいただいています。
参考:ゴトーラボのプロジェクトマネジメント研修
参考資料と、PM育成よもやま相談会のご案内
ゴトーラボでは、この問題に関する分析結果と解決方法をお示しし、社内の育成計画の参考とするための「ディスカッション・ペーパー」を一般公開しています。ぜひ、ご参考ください。
「プロジェクト進行スキルを組織的に底上げする方法を検討するためのディスカッション・ペーパー」https://docs.google.com/presentation/d/1GoFA2VqhkRNuFl0eKlcW0Hh4iFKOrZ3_0d3ggAsvHTM/edit?usp=sharing
(googleスライドです)
また、社員のPMスキル向上を、本気で考えたい!という方への、よもやま相談会を定期的に実施しています。
毎週火曜と木曜、早朝の8時~9時、zoomで実施しています。
https://calendar.app.google/7qyLRxCedgsQyEa59
(予約ページに遷移します)
「自社の育成体系について、セカンド・オピニオン的に意見が聞きたい」
「一般的に、他社や他の業界で、PMスキルについて、どのようなことが課題になっているのかを知りたい」
「とりあえず悩みを聞いてほしい」
などなど、お気軽に、ご予約ください。
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「ウェブマガジンを見た」といっていただければ、わりとすぐにお返事します。
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