プ譜を書くメリットを、ズバリ解説します!

この記事について

プ譜を書くことの、基本的なメリットは「頭の整理」

「プ譜って、他のプロジェクト管理手法と、どう違うんですか?」

「書くと、なにがいいんですか?」

と、よく質問をいただきます。

これまでに、3,000人を超える方々にプ譜のワークショップを提供してきて、ほぼほぼかならずいただくご感想の言葉があります。

それは、「頭の整理」です。

プ譜を書いてみていただいた方からいただくご感想の例

●対応中の案件について、改めて整理ができた。

●プロジェクトを進めるにあたって、検討の深掘りをすることができた。

●今までおぼろげに考え、感覚的にやっていたことを、言語化することができた。

●このプロジェクトを通して自分は何を目指すのか(自分の目標)を確認できました。

●今PJTで迷っていることが整理できて頭がすっきりしました。

●WBSを書くのに苦手意識があり、苦しい思いをしてきたのですが、プ譜を書くのは楽しかったです!

●関係者で意見が異なることがしばしばあるので、その際にプ譜を用いて意見合わせをすることができると感じました。

●状況が変わり、当初のプロジェクトの実現が難しくなり、無駄になってしまうのではと心配していたのですが、プ譜を書いたことで、自分が本当に何を実現したかったのかを、実感できました。

●目標と施策が結びついているか整理・確認する為のツールとして有用だと思いました。

真の価値は「自分ごと化」

一般的なプロジェクト管理の手法との最大の違いは、「プロジェクトが、自分ごと化する」ということです。

プロジェクトマネジメントといえば、「目的・目標や、成果物の明確化、詳細化」そして「作業とスケジュール、担当者の具体化」が、その思考の中心となります。

「プロマネ」の一般的なイメージ
参考:一般的なプロジェクト管理表現のイメージ

こうした型に自分の思考や状況を当てはめようとすると、ほとんどの人は「正しく書かなければならない」というプレッシャーに縛られ、頭が働かなくなります。

ゆえに、「プロマネ」ツールに、内容を書く過程で、その人の頭や心に浮かぶのは

という、あまり前向きではない問いであることが、多いのです。

その緊張感のなかで、もともと、自分が素直な心でやりたいと意欲を感じていたことを忘れてしまい、いつの間にか、そのプロジェクトが「他人事」になってしまいます。

リクルートの有名な企業文化に「お前はどうしたい?」という言葉があります。これはプロジェクトを前に進めるという観点で見ても、とても良い文化です。人間はつい、どうしても「どうすれば正しいか」と、考えてしまいがちです。
しかしやはり、「自分はこうしたい」という意思や意欲がなければ、なにをやっても、うまくいかないものです。

プ譜の特徴とメリット

そして「プ譜」を書く過程で、その人が、自分の頭や心に語りかけるのが、まさに

という、前向きな問いなのです。

つまり、プ譜を書くという行為を通して「お前はどうしたい?」という問いを、誰かに問いかけてもらわずに、内発的に、自問自答することにつながります。

プ譜の効用

プ譜のワークショップを開催すると、「このプロジェクトを通して自分は何を目指すのか(自分の目標)を確認でた」「プ譜を書くのは楽しかった」「迷っていることが整理できて頭がすっきりした」という感想をいただくことがとても多いのですが、その理由は「自分はどうしたい?」の自問自答が起きるからなのです。

お勧めの、プ譜の使い方

以上のように、プ譜には、「いま現在の状況」と、「向かっていきたい未来」を言語化するところに、特徴があります。

お勧めのプ譜の使い方は、2つあります。

使い方① 個人で使う

以下のようなケースで、なにをどう進めるかを迷っている際に、使ってみてください。

一般的なビジネスプロジェクトでいうと、具体的には、以下のようなものが、適用になりやすいです。

・◯◯開発プロジェクトの要件定義フェーズの完了
・大型案件「XXX」の受注
・本社移転のためのRFP作成・コンペ実施
・新規事業の売上拡大テコ入れのための追加開発&プロモーション
・業務改善プロジェクトの初期調査の実施
・ナレッジ共有のためのあらたな仕組みを構築するための、SaaSの選定
・新たなシステムの導入に伴う、業務マニュアルの作成

使い方② チームで使う

個人で使うだけでなく、チームで使うと、効果倍増です。色んな使い方ができますが、以下は、その一例です。

チームで活用すると、以下のようなメリットがあります。

つまり、「今後の行動や目指す方向性、現状認識について関係者同士の考えや思いをつなぎ、チームとしての一体感を生み出す」という効用があります。

業務に活かすための、ワンポイントアドバイス

経営者や事業責任者、あるいはプロジェクトマネージャやプロジェクトリーダーの立場に立ったことのある方の多くは、「社員やメンバーが、仕事に対して、わがこととしての危機感を持ってくれないこと」に、危機感を覚えたことがあるのではないでしょうか。

「自分ごとだと思って、積極的に、自発的にやろう」と、声をかけても、なかなか思ったように、人は動いてくれないものです。

プ譜のいいところは、「自分ごと化してくれ」とお願いしなくとも、ただ「プ譜を書いてみる」ということを通して、自然と自ら自分ごと化してくれるところです。

朝会や月次社員ミーティングの場で「自発的に動こう、じぶんごととしてやろう」とハッパをかけたり、かけられたりしても、なんだか効果がないな、虚しいなと思った方は、ぜひ、「チームでプ譜を書いてみる」ということを、お試しいただけますと幸いです!


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    この記事の著者

    後藤洋平,ポートレート

    プロジェクト進行支援家
    後藤洋平

    1982年生まれ、東京大学工学部システム創成学科卒。

    ものづくり、新規事業開発、組織開発、デジタル開発等、横断的な経験をもとに、何を・どこまで・どうやって実現するかが定めづらい、未知なる取り組みの進行手法を考える「プロジェクト工学」の構築に取り組んでいます。
    著書に「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」「”プロジェクト会議” 成功の技法(翔泳社)」等。