将棋用語は、プロジェクトワークのヒントの宝庫!

この記事について

プロジェクト構想を立て直すヒントは、将棋用語にあり!?

プロジェクト、やってますか? 私はやっています。

将棋、好きですか? 私は好きです。

というわけで、ちょっと唐突感があるかもしれませんが、プロジェクトの進め方考えるうえで、将棋用語が参考になるので、ご紹介です。

たとえば、「序盤」「中盤」「終盤」という言葉があります。将棋用語というよりは、一般用語に見えるかもしれませんが、もとはと言えば、将棋や囲碁から生まれた用語なのです。

これらの言葉をプロジェクトワークに当てはめると「座組み作り」「実行開始」「最後の追い込み」といった概念に対応します。

ただ対応するというだけでなく、各フェーズにおける「将棋のキーフレーズ」は、「プロジェクトの状況認識やアイデア発想」に、とても役に立ちます。

序盤

中盤

終盤

声に出して味わいたい、プロジェクトの参考になる将棋用語

将棋用語の一覧

まずは、定跡を勉強して、囲いを固める、とか、流行形に遅れないようにキャッチアップする、といった言い方は、将棋もプロジェクトも、すごく似ているなぁと思います。

ネットやAIの進化によって、人間の役割や立ち位置が変わっていくところも、良く似ています。

例えば、以下のセリフは、将棋観戦の際に、出てくるボキャブラリーの例ですが、プロジェクトの言葉といっても、違和感がないと思います。

これは・・・ちょっと、幸せになれない手に見えるけど、どうかねぇ。

ここで無理攻めをせざるをえないようでは、苦しいか。

おぅ、これは予想外の展開だけど、元気が出てくるね。

まだまだ大変だけど、ここは、じっと辛抱だ。

ひぇー、顔面受け!でもこれで、急に模様が良くなったね。

ぴったり詰んだね!はや投げしなくて、よかったね。

多くの言葉があり、どの言葉も味わい深いのですが、とくに大切にしたいのが「手を渡す」という言葉です。

手を渡す

人生だって、将棋だって、プロジェクトだって、なんでも自分の思い通りにはなりません。

自分ひとりでやるものではなく、相手あってのことですので。

つい、うまいことやろう、自分に有利になる一手をひねり出し、繰り出そう、と、してしまいますが、そうすると、かえって独り相撲になってしまいます。
若い頃、プロジェクトをうまく動かせなかった頃、この言葉に出会い、頭がかち割られたような感覚を得たものでした。

棋士のプレイスタイルを表現する言葉もまた、味わい深い

さらに参考にしたいのが、往年の名棋士のプレイスタイル、異名です

プロジェクトワークを考えるうえで、たとえば、「光速流」「泥沼流」の二つを知っているだけでも役に立ちますが、それ以外にも「自然流」「鉄板流」など、参考になる言葉があります。

光速流

谷川浩司十七世名人は、他の棋士が思いつきにくい手順でたちまち敵の玉を寄せることから、「光速の寄せ」、「光速流」というキャッチフレーズが付いています。

筆者は、この概念はプロジェクト活動においても非常に参考になると思っています。

つまり、構想する力を磨き上げていけば、他の人が気づかないような最序盤において、必要なアクションを起こしておくことで、そもそも地道で泥臭いプロジェクト管理を要さずに目的を達成することが可能になります。

こうした感性は、プロジェクト進行において、とても大切です。そして、光速流を実現するのは、並外れた構想力なのです。

泥沼流

一方で、そんなふうにきれいにはいかない取り組みが多いのも、現実です。そもそも自分にはコントロールできない要因で局面が濁らされてしまうこともありますし、また、誰かが濁らせてしまった局面の中流域以降を担う、なんてことも、しばしばあります。

そこで参考にしたいのが、厚みを重視し、劣勢になるとあえて局面を複雑にして逆転を狙う棋風から、「泥沼流」と呼ばれた米長邦雄永世棋聖です。

泥沼流の進行のなかで重要になる問いは

・本当に優先すべきものはなにか
・到達することに意味があり、かつ、現実的に到達可能なゴールはどこか

ということになります。

ちなみに、米長永世棋聖には、「さわやか流」という異名もありました。泥沼だからこそ、さわやかに

その境地は、プロジェクトワーカーの理想像であるように思います。

まだまだたくさん!プレイスタイルを顕彰する異名たち

「自然流」

「鉄板流」

「柔らかい手」

「激辛流」

「忍者流」

概念を業務に役立てるために

将棋用語や棋士のプレイスタイルから学ぶべき本質は、将棋の歴史に残るような目覚ましい成果を挙げた棋士は、誰かのマネをしたのではなく、自分のプレイスタイルを築き上げた、ということです。

将棋の勝ち方がひと通りではないように、プロジェクトワークへの向き合い方も、実は、多様である。自分なりの道を探し、選べばよい。

プロジェクトの「地獄」に迷い込んだ場合には、ぜひ、思い出してみていただけると幸いです。


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    この記事の著者

    後藤洋平,ポートレート

    プロジェクト進行支援家
    後藤洋平

    1982年生まれ、東京大学工学部システム創成学科卒。

    ものづくり、新規事業開発、組織開発、デジタル開発等、横断的な経験をもとに、何を・どこまで・どうやって実現するかが定めづらい、未知なる取り組みの進行手法を考える「プロジェクト工学」の構築に取り組んでいます。
    著書に「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」「”プロジェクト会議” 成功の技法(翔泳社)」等。